この記事では各メーカーのドラム式洗濯乾燥機の独自機能を解説します。
ドラム式洗濯機の購入検討者は商品を選ぶとき、ブランドと価格で決めてしまいませんか?
というのも、カタログを見てもなにが違うのかわからないからです。
ちょっと調べたばあいであっても、どこも似たようなことが記載されています。
「節水」「省エネ」・・・どこもやっています。
「高い洗浄力!」「低温乾燥で衣類を痛めない!」・・・どこもやっています。
「新〇〇コース搭載!」・・・どこもやっています。その年では新しくても翌年には他社も追従してきます。
「自動投入」、「IoT」、などなどどこも共通です。

じゃあ結局洗濯機の機能としてはどこも同じでしょうか?

はい。大部分は同じです。ただし各社独自の機能も確かにあります。
そして、独自の機能というのはそのメーカーにとって最大の訴求ポイントになりえるものです。
今回ご紹介するメーカーは、洗濯機を販売、製造する主要メーカー5社、パナソニック、日立、東芝、シャープ、AQUAです。
それでは順番に行きましょう。
[パナソニック]おしゃれ着洗剤も自動投入!トリプル自動投入

パナソニックは自動投入に力を入れています。
自動投入ってなに?なにが便利?というひとはまず↓の記事をご参照ください。
自動投入機能については、今回比較するメーカーすべてにおいて搭載されています。
ただし、おしゃれ着洗剤まで自動投入できるのはパナソニックだけです。
2021年に発売されたNA-LX129A~搭載されています。
タンクの容量も洗剤1010mL、柔軟剤890mL、おしゃれ着洗剤730mLの高容量です。
最も容量が大きいタンクを備えたドラム式洗濯機です。

パナソニックは自動投入にかなり力を入れています!
おしゃれ着はめんどうだから普通の洗剤を使ってしまう。通常の標準コースで洗ってしまう。
そんなかたが多いと思いのでは?
理由はなぜか?それはめんどうくさいからではないでしょうか。
パナソニックではおしゃれ着洗濯にも自動投入が使えます。
他メーカーのドラム式ではおしゃれ着用のコースでは自動投入はできません。手動投入です。
大切な衣類をきれいで長持ちして使いたいひとにとっては刺さる機能です。
トリプル自動投入を搭載した洗濯機の関連記事↓
【2022】NA-LX129BとNA-LX129Aの比較解説【違いはなに】
【違いは何?】パナソニック洗濯機NA-LX129BとNA-LX127B、NA-LX125Bで比較【ポイントは?】
[日立]乾燥フィルターレス構造!乾燥あとのフィルター掃除が不要に

これまで乾燥の風路の途中に、衣類から出たほこりや糸くずをキャッチする乾燥フィルターがあるのは当たり前でした。
そんなこれまで当たり前とされていた構造を大きく変えたのが日立の2022年のドラム式洗濯乾燥機です。
それが、乾燥フィルターレスです。乾燥フィルターがなくなりました。
「らくメンテ」と称されるこの機能はBD-STX120H、BD-SX120H、BD-SV120H、ドラム式でビッグドラムではないスリムタイプのラインナップすべてに搭載されました。
出し惜しみせず、かなり力を入れて訴求しています。

製品ランクごとに機能を搭載したり、しなかったりせず、「らくメンテ」で押していこうという気概を感じますね!

乾燥フィルターレスにしたのはいいけど、これまで出ていたほこりや糸くずはどこにいくの?大丈夫?
おそらくかなり気になるポイントと思われるのは、今まで乾燥フィルターでキャッチしていたほこりや糸くずはどこに行くのか?ということです。
それは、[大容量糸くずフィルター]で捕獲します。

大容量なので約1か月に1回のお手入れでOKです。
乾燥したときに衣類から排出されるほこりや糸くずは一旦、洗濯機槽内に溜まります。
そして次回の洗濯運転で水とともに排出されて、その糸くずフィルターに溜まります。
ただ、過信は禁物です。冬モノの衣類のようにモコモコしたものや、毛布を洗ったりした場合にでるほこりや糸くずは想像以上です。
そんな衣類を頻繁に洗ったばあいには糸くずフィルターが大容量といえどもすぐにぱんぱんに詰まります。
糸くずフィルターを詰まったままにしておくとイヤなニオイの原因にもなりえますので、注意です。
この、乾燥フィルターレスは日立だけです。
この機能のインパクトはかなり現場では大きいです。
乾燥フィルターのお掃除はドラム式洗濯機のユーザーにとってとても手間のかかる作業ですからね。
お手入れを怠れば乾燥性能にダイレクトに影響するので、都度お手入れするように奨励されています。
そんな作業がなくなるとなれば、メリットが大きいことは間違いありません。
乾燥フィルターレス搭載の洗濯機の比較・ご紹介記事はこちら↓
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[東芝]ウルトラファインバブルで高い洗浄力を実現
「ウルトラファインバブル」というワードもだいぶ普及してきた感じがします。
シャワーヘッド「ミラブル」の影響が大きいと思います。
油性マジック?で線を頬に書いて、それをウルトラファインバブルで洗い流すあのCMです。
そんなウルトラファインバブルを洗濯機に搭載したのが東芝。
ウルトラファインバブルを使った洗浄装置などはたくさんあります。
ただし、洗濯機でウルトラファインバブルを使っているのは東芝のみです。

ウルトラファインバブルを使うと洗剤のチカラを高める機能があります。
結果として、洗浄力が高くなります。
このウルトラファインバブル洗濯機、2017年に発売されたAW-10SV6、AW-9SV6にて業界で初めて搭載されました。

はじめて搭載したのはドラム式ではなく縦型洗濯乾燥機なんですね!
2023年現在、東芝のドラム式洗濯乾燥機~縦型洗濯乾燥機、全自動洗濯乾燥機まで幅広くウルトラファインバブルが使われています。
東芝の洗濯機の標準機能と言ってもいいですね!
ウルトラファインバブルを搭載した最新ドラム式洗濯乾燥機の比較・解説記事はこちら↓
東芝ドラム式洗濯機TW-127XP2とXP1の違い5点【なにが変わったか解説】
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注目の効果は水温が低温でも洗浄力が高いところ

ウルトラファインバブルのよいところは、冷たい水でも洗浄力が高いところです。
冬など寒い季節にはとても重宝します。
約15℃の水道水で洗浄したばあいと、約5℃の抗菌ウルトラファインバブル洗浄で洗浄したばあいとで同じ洗浄効果が見受けられます。
パナソニック、日立、東芝、AQUAのドラム式洗濯乾燥機はヒーター搭載で水を温める機能を搭載していますが、どうしてもヒーターで温めることになるので電気代が気になります。しかも、結構温めるのに時間がかかります。
ウルトラファインバブルは単に水道水をウルトラファインバブル生成器を通すだけで作られているので電気代は不要です。流量は下がりますが、時間もかかりません。
[シャープ]ネイチャーテクノロジーを利用した扉ガラス、排水フィルター
シャープは洗濯機に限らず、いろいろな製品にネイチャーテクノロジーを応用しています。
自然や生き物の持つ低環境負荷かつ高度な機能に学び、科学技術や産業(商品・サービスの開発)にそれを応用しようという試みです。自然は人間界よりはるかに小さなエネルギーで運営され、しかも完璧な循環を保っています。それを科学の視点から分析して、人間の生態系にとって必要なものを選び出し、リ・デザインすることで、全く新しいものづくりや暮らし方を目指します。
東北大学 ネイチャー・テクノロジー・データベース
その1つであるドラム式洗濯乾燥機では、1つ目がフィボナッチ配列を応用した「ひまわりガラス」があります。2012年発売のES-Z100~搭載されています。

洗い中に衣類が回転し、「ひまわりガラス」に当たることで、ドラム内側の凹凸によるこすり洗いに加え、ドアガラス内側の凹凸でも同じこすり洗いの効果が得られます。洗濯ムラが約50%低減(シャープ製品比)します。
2つ目がマンタのエラ構造を応用した「するポイフィルター」。2022年発売のES-X11A、ES-V11A~搭載されています。

洗濯の排水の際、ゴミだけをフィルターに絡まらないようキャッチします。
ゴミが絡まないので指でなぞるだけでゴミが取れるのでお手入れがラクになります。
このようにネイチャーテクノロジーを製品に応用した機能があるのは洗濯機はシャープだけです。
ひまわりガラスとするポイフィルターを搭載した最新洗濯機のご紹介記事はこちら↓
【2022】シャープドラム式洗濯乾燥機ES-X11Aの新機能とES-V11Aとの比較
ダストボックスにほこりを溜める「乾燥フィルター自動お掃除」

乾燥フィルターにダストボックスが付いていて、溜まったホコリを運転終了後にダストボックスに自動でかき集めてゴミを一時退避させる機構がシャープにはあります。
フィルターに備えられたブレードがモーターによって回転し、自動でホコリをかき集めます。
ダストボックスには約7回分のゴミが溜められるので、1週間に1度ほど溜まったゴミを捨てればOKになります。

日立の乾燥フィルターレス「らくメンテ」が出てくる前は、これが最適解かと思っていました。
乾燥フィルター自動お掃除ができるのはシャープだけです。
乾燥フィルター自動お掃除は2018年発売のドラム式洗濯乾燥機ES-W111~搭載されています。
[AQUA]海外仕様ドラム式洗濯機の構造をベースとしたまっすぐドラム

日本で売られているドラム式洗濯乾燥機はドラムが傾斜している「ななめドラム」が一般的です。
一方で、海外で売られているドラム式洗濯乾燥機は「まっすぐドラム」が一般的です。
海外仕様で一般的でも日本ではそれが特徴になります。
ドラムがまっ直ぐのばあい、洗濯している最中に衣類が固まりにくく、絡みにくくなります。
絡みにくいということは結果としてシワ・洗いムラが起こりにくくなります。
また、ドラムを斜めに傾斜させる必要がないのでコンパクトな構造にできます。
海外仕様を「まっすぐドラム」として訴求しているので、独自機能とは厳密には言えません。
ただし、主要な洗濯機メーカーのフラグシップモデルで「まっすぐドラム」はAQUAだけです。
十分に独自機能と言えるのではないでしょうか。
「まっすぐドラム」の最新ドラム式洗濯機のご紹介記事はこちら↓
アクアドラム式洗濯機AQW-DX12NとDX12M、AQW-D12Nとの縦横比較【違いは何を解説】
まとめ|独自機能は最大の訴求ポイント
パナソニック、日立、東芝、シャープ、AQUAのドラム式洗濯乾燥機における「独自機能」にポイントを絞って解説しました。
カタログを見るとどこもかしこも似たような機能が搭載されており、購入検討者を混乱させます。
省エネ、節水からはじまり、高い洗浄力、短い乾燥時間、自動投入、スマートフォン連携・・・。
なにが違うんだよ!!!
めんどうくさいから、ブランドと価格で決めてしまおう!!!
となっても仕方がない一面もあります。
そんな中でも各メーカーにしかない独自機能はあります。
その独自機能はメーカーの技術力の証でもあり、そのメーカーの強みとなり最大の訴求ポイントになります。
そこを今回フォーカスしました。それではまとめです。
- パナソニックはトリプル自動投入!おしゃれ着用洗剤の自動投入ができる。タンクの容量もトップのでかさ。
- 日立は乾燥フィルターレス構造!らくメンテ。乾燥あとのフィルター掃除が不要になりました。
- 東芝はウルトラファインバブル!洗浄力が高い。ウルトラファインバブルは水温が低い寒い季節にメリットが大きい。
- シャープはネイチャーテクノロジーを応用した扉ガラスと排水フィルター!ちょっと変わった取り組みを企業として推進中。乾燥フィルター自動お掃除というダストボックスにゴミを自動収納する機能もあり。
- AQUAはまっすぐドラム!海外仕様を日本のフラグシップモデルに適応。ドラムを傾斜させないのでコンパクト設計。
当記事が参考になれば幸いです。それでは。